平成から令和へと移り変わった現在。
気づけば世の中、デジタル製品に囲まれています。
スマホなどはデジタル製品の代表格。
写真などを指二本で拡大して見ることができるなんて、平成が始まった頃、いったい誰が想像していたでしょうか。
絵もそうですね。
昔はアニメや漫画もアニメーターや作者さんが線を一本一本描き、着色していたものですが(こういう手法をアナログという)、今はパソコンとペンタブレット、作画用のソフトを使って描く時代になりました(こういう手法がデジタル)。
Adobe Illustratorという有名なソフトを使えば、セル画を重ねるように、層を重ねて絵を書くことができ、さらに表現の効果も自由自在につけることができます。
手描きでは膨大な時間がかかった作業が、ワンクリックで終わってしまうのがデジタルの絵です。
また、どんなに大きな作品でも、パソコンのスペースで作業ができるのもデジタル絵の特徴です。
アナログだとキャンバスサイズに合わせたスペースが必要ですが(例えば300号のキャンバスだと290cmの大きさが必要)、デジタルなら例えノートパソコンでも描くことができます。
一方で、デジタルは平面的です。
重ね塗りすれば、油絵だと絵に厚みが出て、絵のタッチなどで情感を表現できますが、デジタルにはそれがありません。
どれだけ重ねても画面はフラットなままです。
アナログが良いのか、デジタルが良いのか。
それぞれの良さを生かした手法を選ぶことができる時代になった、と言うのが適切かもしれません。
そもそもアナログとデジタルの違いって何でしょう
なんとなく、手で作業するものはアナログ、パソコンなどコンピューターを使うものはデジタル、と感覚的に捉えていますが、実際のところどうなんでしょう。
アナログ(analog)とは、連続した量を他の連続した量で表示すること。
例えば、時間を角度で表示する時計や、温度を水銀計で表す温度計などがあります。
デジタル(digital)とは、連続した量を飛び飛びな値として表現すること。
例えば、同じ時計でも数字(整数値、degit)で表現するのがデジタルです。
アナログ時計の針のように、正確に定義できない時間も、デジタル時計は、キリの良い数字で表現するので揺らぎがありません。
では、指で計算するそろばんは、アナログでしょうか、デジタルでしょうか。
昔からあるものですが、そろばんは数字を段階的に表現しているため(揺らぎがない)、デジタル機器にあたるのです。
これは意外でした。
同じ意味で、狼煙なども「上げるか、上げないか」の2択しかなく、揺らぎ部分がないのでデジタルになるのです。
何かと話題の明和電機のジホッチは、アナログ?デジタル?
土佐信道氏率いるアートユニット「明和電機」が2004年に発売した「ジホッチ」が、昭和を彷彿とさせるとSNSで話題になっていますが、このジホッチはアナログ機器なのでしょうか、それともデジタル機器なのでしょうか?
「時報」と「ウォッチ」を掛け合わせたこの「ジホッチ」、腕時計の文字盤に当たるところについているのは、昔懐かしいダイヤル式の電話。
時間を知りたいときは、「1 1 7」とダイヤルを回す必要があります。
つまり、数字に指を入れ、時計回りにぐるりとダイヤルを回し切り、指を離します。
そうすると「ジーコ」という懐かしい音と共にダイヤルがゆっくり巻き戻ります。
それを「1 1 7」と順番に行うと、「ピッ、ピッ、ピッ、ポーン!〇時〇分〇秒をお知らせします」と本物の時報のように音声が流れるのです。
ダイヤルを回すというところでアナログ味を感じますが、「117」という順番でしか対応しないことを考えると、ノスタルジーを感じるとはいえ、デジタル機器ということになりますね。
デジタルの良さ、アナログの良さ
若い世代も年を重ねた世代も、デジタルの良さ、アナログの良さ、それぞれの利点を生かして生活に取り込んでいけば良いのではないかと思いました。
デジタルは確かに味気ないけれど、便利なのもまた確か。
CGを駆使したアニメーションに疲れたときは、気になる展覧会などに足を運んでアナログな絵を鑑賞することで、バランスを取ってみてはいかがでしょうか。