歴史を紐解くと、5世紀にもわたって和菓子屋を営んでいる「とらや」はまさに老舗中の老舗です。
創業はなんと江戸時代よりも前の室町時代です。
しかも、御所の御用(宮内庁御用達ということ)を1586年より勤めています。
創業は京都でしたが、1869年(明治2年)に都が東京に移り、天皇も東京に移ったため、虎屋も天皇にお供する形で東京に移りました。
なので現在の本店は東京の赤坂になりますが、京都のお店はそのまま残してありますので、とらやは純粋に東京のものとは言えないと思います。
銘菓ひよこが福岡発祥ということと同じようなものですね。
とらやの代名詞、羊羹の口コミは高い評価
とらやといえば、まず思い浮かべるのが羊羹はないでしょうか。
その羊羹の口コミを見てみると星4~5の高い評価を得ていることが分かります。
老舗の味の重みを感じている方もいますし、食べやすいサイズに満足している方もいます。
お値段は決して安くないですが(小形羊羹10本セットは、iPadよりも小さい箱に入って税込み2,700円)、そこは貴賓あふれる羊羹です。
お値段なりの価値があります。
とらやの羊羹の定番は「夜の梅」
『古今集』の「春の夜の闇はあやなし 梅の花 色こそ見えね 香やは隠るる」(春の夜の闇は無意味だ。梅の花の色が見えなくなってしまうが、その素晴らしい香りだけは隠れようもない。)にちなんで名付けられた『夜の梅』は、切り口の小豆を夜の闇に咲く梅に見立てた小倉羊羹です。
歴史はとても古く、1694年(元禄7年)の古文書にその菓銘を見ることができます。
形や原材料については残念ながら分かっていません。
羊羹として最初に記録されたのは1819年(文政2年)であり、1862年(文久2年)には原材料に小豆、寒天などを使用したと文書に残っているので、この頃には練り羊羹として作られてたことが分かります。
それにしても300年以上も歴史があるのはすごいことです。
現在の原材料は、砂糖、小豆、寒天のみ。
材料がシンプルなのは、それだけごまかしが効きません。
さすが「とらや」と言われるゆえんです。
とらやの羊羹は他にも。季節限定商品もぜひ!
沖縄・西表島産の黒砂糖を使った「おもかげ」は黒砂糖入の羊羹です。
記憶に残る人や物事を思い起こさせる奥ゆかしい言葉、「おもかげ」。
黒砂糖の独特の風味に、黒砂糖を食べた懐かしい昔を思い出すであろうと菓銘になりました。
抹茶入り羊羹である「新緑」も、定番入りした羊羹といっていいでしょう。
1957年(昭和32年)の発売当時は、厚生省に特殊栄養食品として認可された緑色の羊羹でした。
葉緑素とビタミンB群などを含んでいたのです。
当時としては画期的なことだったでしょう。
1965年(昭和40年)より抹茶入りの羊羹となりました。
心を和ませてくれるほのかな香りと深い緑色が特徴羊羹です。
「はちみつ」は蜂蜜入りの羊羹です。
カナダ産のクローバー蜂蜜を使用しています。
蜂蜜のコクのある風味と白餡の上品な甘さを楽しむことができます。
熊本県水俣市の山間部、石飛(いしとび)で生産された紅茶を使用した「紅茶」は、紅茶入り羊羹。
挽いた茶葉を白餡に混ぜ、煉りあげているので、紅茶本来の甘く香ばしい香りと豊かな風味を楽しむことができます。
他に季節限定商品として国産の新栗のみを使用した「栗蒸羊羹」、赤々と陽に照りはえる紅葉を表した「照紅葉」、御殿場地区限定販売ので茜色と黒の煉羊羹で夕焼けを背にした雄大な富士山を表した「四季の富士 秋」があります。
限定といえば、この秋、大改修を終えた京都四條南座にオープンした「とらや 京都四條南座店」で、定番の「夜の梅」の限定パッケージ隈取バージョンが販売されています。
虎をイメージした隈取のおしゃれなパッケージは、歌舞伎好きだけでなく、手土産にも訪日客にも喜ばれそうです。
とらやの羊羹は小形羊羹だと賞味期限が1年と長く、日持ちがする上外さないので、お土産に贈り物に最適です。